解剖学者と放射線科医、日本解剖学会総会に参加して

Posted: 04/6/2014 | Author: | Filed under: Irimoto Medical | No Comments »

2014年3月27日栃木県自治医大において第116回日本解剖学会総会が開催され、
“人体解剖学および画像解剖学の包括的医学教育:CT・MRIデジタル画像データを利用した解剖学教育システムの構築”
と題したシンポジウムがもたれた。
本シンポジウムは放射線科専門医である国際医療福祉大学三田病院の奥田逸子先生がオーガナイザー・司会を努められ、放射線科医・解剖学者・医学教育学者による講演・討論が行われた。
(本学会は明治26年に第1回が開催され、本邦においても最も歴史と権威のある学会であり、ここで放射線科医がシンポジウムオーガナイザーを努めるのは画期的なことであり、放射線科医でありながら放射線科の枠を越えて活躍される奥田先生ならではの快挙である。)

シンポジウムはそれぞれの専門家から解剖学の学生教育にはたす画像診断の役割について講演され、最新の3D画像による教育の有用性も提示され、興味深いものとなった。
講演後の討論では最初は、新しい画像診断法を学生教育に用いる具体的な方法などを論じていた。しかし、質疑応答の時間にフロアの解剖学のA先生から“これだけ画像診断が進歩したら、肉眼解剖はもう必要ないのではないか?”という発言が飛び出してから、場の雰囲気が一変した。
実は現役放射線科医の多くは“肉眼解剖をもう一度勉強したい”と考えている。骨や造影された消化管や血管を見ていた以前とことなり、現在の放射線科医はCTやMRIの3D画像を日常的に扱い、より肉眼解剖に近いものを見るようになってきた。しかし、それは近づけば近づくほど、実際のものとは異なることが疑問になり、肉眼解剖と対比する欲求が強くなっている。
フロアの放射線科医からも、“透過光の画像と反射光の解剖は異なる”とか“大学の放射線科医は肉眼解剖と対比できる機会があってめぐまれているが、多くの放射線科医はその機会がなく、渇望している”との発言がなされた。これに対し解剖学者側からは”外科などからは解剖を勉強したいという希望はよく聴くが、放射線科医は解剖は我々以上に理解していると思っていた、こんなに希望が多いとは思わなかった。”という発言があった。
さらには、医学生に対する肉眼解剖実習は“生の尊厳”などの”精神教育”にすぎなく、実際に”解剖教育が必要なのは卒後教育ではないか”というような、突飛ではあるが、実践的な意見も飛び出し、予想外にホットな討論になり、予定を大幅に延長することになった。
さらに当夜は、宇都宮市内に場所を移し当シンポジウムの懇親会が行われ、学際的に放射線科医、解剖学者が集まり、忌憚のない意見を交換する本邦初の懇親会で盛り上がった。
宇都宮の夜は長く、宇都宮餃子店さらにはおしゃれなワインバーと場を移しながらお互いの理解と友情を深めあった。
CTやMRI、PETなどの高度な画像診断は名実ともに本邦の医療の質を支えている。画像診断は基礎の解剖や生理、生化学の知識なしにはありえない。しかし、多忙な日常の教育・研修ではともすれば忘れがちで、薄っぺらな知識でのレポートや研究報告をしがちである。
今回の解剖学会に参加して、画像診断の健全な発展のためには、解剖学者を始め基礎研究者と日常的に交流し、意見を交換し、教えを請うことが大切なこととあらためて認識した。
煎本正博


診療報酬”画像診断管理加算”と遠隔画像診断

Posted: 04/6/2014 | Author: | Filed under: Irimoto Medical | No Comments »

今年度の診療報酬改訂において、放射線科関連では“画像診断管理加算”の施設基準に次のような文言が追加され、話題となっている。
“当該保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託していないこと。”
すなわち、読影を遠隔画像診断に出している施設は“画像診断管理加算”が算定できなくなってしまうことになった。

-画像診断管理加算とは-
画像診断管理加算とは下記のような条件下で画像診断を行うと算定できる加算である。
・ 常勤の画像診断専門医がいること。
・ 画像診断管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。
・ 画像診断専門医が読影し、主治医に文書で報告すること。

・ 管理加算1は 病院または診療所で70点(700円)が算定できる。
・ 管理加算2は
病院 でかつ
CT,MR,核医学の8割以上の読影結果が翌診療日まで主治医に報告されている。
が条件で180点(1800円)が算定できる。
いずれも1検査あたり月1回

この条件を読むとわかるように、そもそも、画像診断管理加算は報告書作成料ではなく、常勤画像診断専門医(以下放射線科医とする)がその医療施設の画像診断管理をしていることへの報酬である。
画像診断管理とは下記のようなもので、報告書作成はその一部でしかない。
・医療被ばく管理
・放射線科リスクマネージメント(インフォームドコンセントの指導管理体制を含む)
・プロトコール(撮影法)管理
・画像診断報告書作成
(日本放射線科医専門医会作成資料による)

 -画像診断管理加算と遠隔画像診断-
画像診断管理加算2を請求するには常勤放射線科医がその施設で発生する“全ての”画像診断について適応・撮影段階からかかわり、目を光らせる必要があり、報告書作成はそれを保証するものである。
それがゆえ、管理加算2は1と比較して1100円もの高い報酬で算定できる。
従って、報告書を遠隔画像診断に委託して作成することは、“全ての”画像診断管理を行っているとはいえず、管理加算2を請求することは不正請求にあたる。

一方、画像診断管理加算1では全ての画像を管理する必要はなく、放射線科医は”報告書を作成した画像のみ”の画像診断管理を行っていると考えられる。放射線科医の管理外の画像診断を当該科が外部に委託することはあり得ることで、そのことにより、放射線科医が管理している画像診断の管理加算まで剥奪することは、その放射線科医の業務・存在を全否定することにつながる。
放射線科医が全ての画像を読影できない理由には、量的に読影できないということばかりではなく、不得意分野が読影できないということもあり、それを得意とする外部の放射線科医に委託することにより、その施設の医療の質を上げていることも少なくない。
私は遠隔画像診断による報告書が管理加算2の請求要件に用いられることは、管理加算2の目的に反することと考える。しかしながら、量的規制のない管理加算1の施設まで外部委託を禁止することは、遠隔画像診断が担ってきた医療の質の担保からも逆行することであり、賛成できない。

-遠隔画像診断管理加算-
私は本来常勤放射線科医が読影すべき”画像診断管理加算”対象の報告書を遠隔画像診断サービスが作成することには賛成しない。一方、診療報酬の加算には画像診断管理加算とは別に、遠隔画像診断加算という項目がある。これは、遠隔画像診断を行うと、受信側施設の状態に応じて画像診断管理加算1または2を送信側が請求できるという加算である。
しかし、その受信側の施設基準として
特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院であること。
とされている。
島嶼・へき地の医療をITを使って大病院が支えるという漫画的図式を具体化したような規程である。しかし、画像診断管理加算2を請求している大病院の放射線科医は自分の病院の読影だけですでに疲弊しきっている。他の施設の読影に手を出すより、より自分の施設の画像診断管理に努めるべきであろう。
当然、自施設の読影でさえも完全にできていない画像診断管理加算1の施設が他施設の読影を行うことは本末転倒である。
現在の施設基準下での遠隔画像診断管理加算は画餅である。

民間による遠隔画像診断サービスはすでに20年にわたって勤務放射線科医が読影できない画像を読影し、本邦の画像診断ひいては医療の質と安全を保証してきたことは揺るぎのない事実である。現在の遠隔画像診断サービスの顧客は、画像診断管理加算を請求できなくても、自腹を切って遠隔画像診断に診断を委ね、自施設の医療の質と安全の向上の努力をしている施設がほとんどである。遠隔画像診断サービス事業者は新たな団体を発足させ、その質的担保も保証できるような態勢を整えつつある。遠隔画像診断加算を遠隔画像診断サービスにも適応できるように行政に働きかけることが必要と考える。

煎本正博


JCRアプリについて

Posted: 04/6/2014 | Author: | Filed under: Irimoto Medical | No Comments »

今週、10日より日本医学放射線学会.日本放射線技術学会総会がパシフィコ横浜で開催される。昨年につづきiPhone.iPad、Android用プログラムアプリがリリースされているが、なんとなく使いづらい。

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一番使う日程表が広すぎてほとんど使いものにならない。
技術学会と放射線学会を一枚にしたためと思われる。
両方の共通会員はほとんどいないので、最初から別にしたほうが使いやすいのではないだろうか?

抄録を会員限定でパスワードを要求するのは利用者にとって面倒が多い、改善をのぞみたい。

しかしながら、重いプログラム本を持つより、iPadのほうがはるかに楽である。
今後ともこのシステムは利用したいと思う。


投稿再開について

Posted: 04/6/2014 | Author: | Filed under: Irimoto Medical | No Comments »

この一年間、投稿がとどこっていたイリモトメディカルの放射線科医療情報サイトCandRofA Press ですが、掲載を再開したいと思います。ご覧のうえ、ご意見などありましたら、お寄せ下さい。

イリモトメディカル代表  煎本正博


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