乳がん検診、Tomosynthesisを有効利用するためには

Posted: 11/28/2012 | Author: | Filed under: 学会情報 | Tags: | No Comments »

Hologic, 3D Breast TomosynthesisのHands onに参加してきた。
火曜日午前中にHologic(以下H社)のBoothを訪問し、Hologic Japanの楠本さん、日立の田上さんからHologicの3D Breast Tomosynthesisについて説明を受けた。日本にはすでに12基ほどが導入されているそうで、education exhibitsでは静岡がんセンターからThe Emerging Role of Breast Tomosynthesisの報告もなされている。本法は管球とフィルムを振って目的の深さの部分のみの断層像を得る古典的なTomographyの手法をデジタル化したもので、近年乳がん診断の場に急速に普及している。基本的には通常のマンモグラフィ(2D)と断層画像(3D)の両方を撮影して診断に用いるが、断層画像のデータセットから擬似的に2Dを作成して、3Dのみの撮影ですませる”C-view”も開発され、FDAの認可待ちの状態だそうである。

ブースで基本的な知識を得たのち、H社のHands on work shop、3D Breast Tomosynthesis for Breast Cancer Screening and Diagnosisに参加した。まず、 H社のtomosynthesisを全米で2番目に導入したPhenixの診断クリニックの先生が、ご自身の経験について講義された。この施設では2基のTomosynthesisを運用し、現在は一日に100~120件程度の検診検査を行っている。Tomosynthesis利用により、要精検率が40%減少し、PPVが35%上昇したそうである。
H者の技術者により簡単な取り扱い説明がなされた後、室内に20台以上設置されている専用ワークステーション“SecurView”を参加者一人に一台割り当てられて操作体験をすることができた。このワークステーションのコントロールはマウスと専用のキーパッドで行う。一連の決められた読影プロトコルを進めることができるボタンが設定されており、押すことによりを順番に画像が切り替わる。tomosynthesis 画像は対比する2Dと対になって表示されるようになっている。キーパッドのボタンにより1mm厚の断層画面が連続的にムービーで表示されるが、1回目のスクロールはゆっくりと、折り返しからは素早く表示され、読影者の生理を考慮した設定になっている。もちろん、マウスやキーパッドで手動でのスクロールも可能である。また、全症例において、擬似的2DのC-viewとreal 2Dの画像が切り替えて表示できるようになっており、C-viewを自然に経験できるようなプログラムになっていた。

症例は15例が準備されていたが、乳がん症例とpseudomassの症例で、場所と診断を記載したパンフレットが用意されており、参加者は自分の診断と正解を比べることができる。特にpseudomassの症例は、私が見ても腫瘤やFADでカテゴリ3以上にとるような例が、tomosynthesisでは乳腺などの重なりであることが診断できる症例が準備されていた。
日本でのデジタルマンモグラフィ講習会のような感覚で、症例を検討しながら読影したが、15例を見るのに約40分かかった。問題所見ばかりであり、始めてのワークステーションでの操作のことを考えても、これはかかりすぎである。どんなに早く見ても、1例には1分以上かかる。マンモグラフィ検診の有所見率・有病率から考えて、こんなにかけていては検診全体の有効性に影響する可能性がある。“読影医の資源は有限であり、診断効率を考慮しない検診体制は受診率の向上にともないいずれ破綻する。”は検診医療に携わる私が常に考えていることである。冒頭のPhenixの先生も乳腺濃度によって使い分けるような発言をされていた。現時点でのtomosynthesisの報告の有用性の多くは要精検率の減少のようである。Hands onで連続的に読影していると、擬似的2D C-viewはほとんど意識しなくなり、所見がなければ“異常なし”と報告してもいいと思われる。従って、受診者全員を3D撮影し、まずは擬似的2DのC-viewで読影し、有所見のみを3Dで観察するというようなプロトコルが一番いいように思える。
2Dで見えないものがtomosynthesisで見えるようになり、検診感度に影響を与えるようになるとの報告は期待するところであるが、そのためには、なんらかのhigh riskグループに限ってtomosynthesis読影を指示するようなシステムが必要であろうと考える。
乳腺濃度はhigh riskの指標である。乳腺濃度を自動的に評価しtomosynthesis観察を指示するようなシステムがあれば、tomosynthesisの検診での臨床的有用性を飛躍的に高めるのではないかと考えている。その意味では、別項で紹介する、自動的乳腺濃度判定装置のvolparaは利用価値があるのではないかと考えている。


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