診療報酬”画像診断管理加算”と遠隔画像診断

Posted: 04/6/2014 | Author: | Filed under: Irimoto Medical | No Comments »

今年度の診療報酬改訂において、放射線科関連では“画像診断管理加算”の施設基準に次のような文言が追加され、話題となっている。
“当該保険医療機関以外の施設に読影又は診断を委託していないこと。”
すなわち、読影を遠隔画像診断に出している施設は“画像診断管理加算”が算定できなくなってしまうことになった。

-画像診断管理加算とは-
画像診断管理加算とは下記のような条件下で画像診断を行うと算定できる加算である。
・ 常勤の画像診断専門医がいること。
・ 画像診断管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。
・ 画像診断専門医が読影し、主治医に文書で報告すること。

・ 管理加算1は 病院または診療所で70点(700円)が算定できる。
・ 管理加算2は
病院 でかつ
CT,MR,核医学の8割以上の読影結果が翌診療日まで主治医に報告されている。
が条件で180点(1800円)が算定できる。
いずれも1検査あたり月1回

この条件を読むとわかるように、そもそも、画像診断管理加算は報告書作成料ではなく、常勤画像診断専門医(以下放射線科医とする)がその医療施設の画像診断管理をしていることへの報酬である。
画像診断管理とは下記のようなもので、報告書作成はその一部でしかない。
・医療被ばく管理
・放射線科リスクマネージメント(インフォームドコンセントの指導管理体制を含む)
・プロトコール(撮影法)管理
・画像診断報告書作成
(日本放射線科医専門医会作成資料による)

 -画像診断管理加算と遠隔画像診断-
画像診断管理加算2を請求するには常勤放射線科医がその施設で発生する“全ての”画像診断について適応・撮影段階からかかわり、目を光らせる必要があり、報告書作成はそれを保証するものである。
それがゆえ、管理加算2は1と比較して1100円もの高い報酬で算定できる。
従って、報告書を遠隔画像診断に委託して作成することは、“全ての”画像診断管理を行っているとはいえず、管理加算2を請求することは不正請求にあたる。

一方、画像診断管理加算1では全ての画像を管理する必要はなく、放射線科医は”報告書を作成した画像のみ”の画像診断管理を行っていると考えられる。放射線科医の管理外の画像診断を当該科が外部に委託することはあり得ることで、そのことにより、放射線科医が管理している画像診断の管理加算まで剥奪することは、その放射線科医の業務・存在を全否定することにつながる。
放射線科医が全ての画像を読影できない理由には、量的に読影できないということばかりではなく、不得意分野が読影できないということもあり、それを得意とする外部の放射線科医に委託することにより、その施設の医療の質を上げていることも少なくない。
私は遠隔画像診断による報告書が管理加算2の請求要件に用いられることは、管理加算2の目的に反することと考える。しかしながら、量的規制のない管理加算1の施設まで外部委託を禁止することは、遠隔画像診断が担ってきた医療の質の担保からも逆行することであり、賛成できない。

-遠隔画像診断管理加算-
私は本来常勤放射線科医が読影すべき”画像診断管理加算”対象の報告書を遠隔画像診断サービスが作成することには賛成しない。一方、診療報酬の加算には画像診断管理加算とは別に、遠隔画像診断加算という項目がある。これは、遠隔画像診断を行うと、受信側施設の状態に応じて画像診断管理加算1または2を送信側が請求できるという加算である。
しかし、その受信側の施設基準として
特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院であること。
とされている。
島嶼・へき地の医療をITを使って大病院が支えるという漫画的図式を具体化したような規程である。しかし、画像診断管理加算2を請求している大病院の放射線科医は自分の病院の読影だけですでに疲弊しきっている。他の施設の読影に手を出すより、より自分の施設の画像診断管理に努めるべきであろう。
当然、自施設の読影でさえも完全にできていない画像診断管理加算1の施設が他施設の読影を行うことは本末転倒である。
現在の施設基準下での遠隔画像診断管理加算は画餅である。

民間による遠隔画像診断サービスはすでに20年にわたって勤務放射線科医が読影できない画像を読影し、本邦の画像診断ひいては医療の質と安全を保証してきたことは揺るぎのない事実である。現在の遠隔画像診断サービスの顧客は、画像診断管理加算を請求できなくても、自腹を切って遠隔画像診断に診断を委ね、自施設の医療の質と安全の向上の努力をしている施設がほとんどである。遠隔画像診断サービス事業者は新たな団体を発足させ、その質的担保も保証できるような態勢を整えつつある。遠隔画像診断加算を遠隔画像診断サービスにも適応できるように行政に働きかけることが必要と考える。

煎本正博


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